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一般的に「食物繊維」と聞くと体内にある腸を整える効果があるというイメージをもつ方が多いと思います。
それは人間だけではなく、イヌにも関係してくる話にもなってくるのか?
また食物繊維を摂取することにあたって例えば、「さつまいも・里芋」などの芋類、「キャベツ・レタス」などの野菜類、他様々な食べ物で摂れるのイメージがあり、それらの食べ物をイヌに食べさせて影響があるの?大丈夫なの?と考える方もおられると思います。
そこで今回は「ドッグフードに食物繊維」は必要なことなのか?注意することは?などについて解説しますので参考にしてみてください。
食物繊維について
まず初めに「食物繊維とは?」どんな成分でどんな役割があるのか?を解説します。
食物繊維とは?
食物繊維とは「食べ物の中に含まれ動物の消化酵素では消化されない物質」のことを言います。
つまり人間やイヌ・ネコが食べてもほとんど栄養にもエネルギーにもならない成分ということになります。
どちらかと言うと、腸内環境を整えるなど身体の中で有用な働きをすることが注目され、第6の栄養素といわれることもあるとも言われています。
また、食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つのタイプに分かれている物質が存在します。
- 水溶性食物繊維とは?
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水溶性食物繊維とは「水に溶けるタイプの食物繊維」のことで腸内の善玉菌のエサとなります。
水溶性食物繊維は、海藻類やヌルヌルとした食材に多く含まれます。
また、発酵性が高く腸内細菌が水溶性繊維を発酵すると有用な短鎖脂肪酸が産生されます。
さらに善玉菌が増えると相対的に悪玉菌が減るので、免疫力の低下を防ぐ効果があります。
ただ、水に溶けることと消化できることとは別の話になり「水溶性」≠「消化性」ですので注意が必要です。
- 不溶性食物繊維とは?
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不溶性食物繊維とは「腸内まで形を保ったまま届き、複雑な腸の壁を掃除しながら進む物質」のことです。
不溶性食物繊維は、善玉菌の住処となり善玉菌の増加を助ける働きがあります。
また水分を吸収し膨らむ性質があるので、下痢や軟便の対策にも有効で、腸内のぜんどう運動の促進に作用します。
不溶性食物繊維は穀物や野菜、キノコ類や甲殻類に多く含まれます。
食物繊維の割合は10%以下
基本的にドッグフードに含まれている食物繊維は平均すると3~5%くらいで、10%以下がほとんどです。
穀類など植物が主原料のドッグフードは食物繊維量は多い傾向にあります。
肉や魚が多いグレインフリーフードは食物繊維量は少なめなことが多いです。
食物繊維の成分
食物繊維の成分は多種類ありますが、ここでは3つの代表的な成分を紹介します。
- ・ペクチン
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ペクチンとは植物や果物に含まれる糖の仲間で、水溶性食物繊維の代表にあたります。
果物を煮詰めるとトロミが出てくるのは、このペクチンが水に溶け出してゲル化させるはたらきがあるためです。(いわゆるジャムです)
ペクチンは、食品添加物のゲル化剤にも指定されています。
- ・βグルカン
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グルコース(ブドウ糖)が長く連なったものをグルカンといい、つながり方によりαグルカンとβグルカンに分かれます。
この内、βグルカンは動物の消化酵素では分解できないタイプで、すなわち食物繊維にあたります。
キノコや酵母に含まれるβグルカンは水に溶けない不溶性繊維ですが、大麦などイネ科植物の種子に由来するものは水溶性繊維にあたります。
- ・セルロース
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肉や魚(動物の細胞)と比べて野菜が硬いのは、植物の細胞には一番外側に細胞壁というものがあるためです。
セルロースはこの植物細胞の細胞壁の主成分で不溶性繊維の代表です。
セルロースはトウモロコシや小麦フスマ、他には紙の原料であるパルプ等に含まれています。セルロースパウダーとはこのパルプを精製・粉砕したものことになります。
繊維源ビートパルプについて
繊維源ビートパルプについてどのくらいの方がご存じでしょうか?聞いた事がある方や知っている方もおられると思います。また全然知らない方も多いんじゃないかと思います。
そこで「繊維源ビートパルプ」についてどんなものなのか?を解説します。
繊維源ビートパルプとは?
ビートパルプとは「ビートから砂糖をしぼった後の残渣(ざんさ)」のことを言います。
ビートパルプの「ビート」とは甜菜(てんさい)という植物のことです。
この甜菜は「砂糖大根」とも呼ばれており、国産砂糖の約80%はこのビートから作られています。
残渣はいわゆる「しぼりかす」のこととなりますが、結構良質の栄養成分が含まれています。
タンパク質の含有量はトウモロコシとほぼ同量の約9.5%含み、そして総繊維量はおよそ65%も含んでいます。
そして、その食物繊維の内訳は水溶性(20%)、不溶性(80%)という割合になります。
ビートパルプは、水溶性繊維(ペクチン)と不溶性繊維(セルロース)をバランスよく含み、かつ安価であるという優れた特徴をもつフード原料と言われています。
犬に食物繊維は必要なの?
先ほど「食物繊維とは?」で食物繊維について解説しました。そこで「やっぱり犬にも必要なのかな?」などと感じた方もおられると思いますので解説します。
「犬の毎日の食事に食物繊維は必要ではないです。ただ、ある程度の量は必要とされています。」
食物繊維は炭水化物の一種であり、犬を含む単胃動物では消化吸収できない植物の細胞成分です。
ただ、消化管(特に大腸)の健康のために食物繊維が有用なことが明らかになっているそうです。
そのため、犬にとって消化に良い食品とは、食物繊維が少ないものを与えるほうが良いとされています。
ドッグフードの食物繊維の効果とメリット
犬に食物繊維はそこまで必要とされてはいませんが、食物繊維を摂取すれば効果やメリットはついてきます。
そこでここからは「ドッグフードの食物繊維の効果とメリット」について解説します。
食物繊維は低カロリーで満腹感も得られるので、肥満時のフードで多く使用されています。
また消化に時間がかかる性質から満腹感が持続するため、肥満時のフードでは食物繊維が10~15%程度配合される場合もあります。
食物繊維は消化酵素によって分解吸収されることなく形を保ったまま腸まで届くため、犬の腸内を掃除しながら不要物を排泄してくれます。
また、食物繊維は便通も促進するので悪玉菌の繁殖を防ぎ、排便のニオイ改善にも効果的です。
腸は「第二の脳」と言われる臓器で、腸内環境は免疫機能にも影響を与えます。
食物繊維で腸内環境が整うと免疫機能も正常に機能し、免疫への抵抗力も上がります。
特に免疫の抵抗力が低い子犬やシニア犬には重要なことなので、食物繊維はある程度配合されているものがいいかと思います。
以上のメリットがありますので参考にしてみてください。
犬に与える食物繊維は1日に必要な量は?
食物繊維を与えたいと考えたときに「1日にどのくらいの量を与えたらいいの?」と感じるかと思いますので解説します。
犬に1日の食事で食物繊維を与える量は「5%」ほどと言われています。
総合栄養食のドッグフードには一般的に5%程度の食物繊維(不溶性および可溶性をあわせて)が含まれていますので難しく考えなくても良いかと思います。
また水溶性繊維は大腸でガスの産生をすることがあるので、そのような状態にあるケースでは食物繊維の量は乾物量あたり5%を越さないようにすることがポイントになります!
ただ、犬の年齢や消化器の状態によって必要量は異なりますので注意が必要です。
子犬や老犬に必要な量は?
基本的に子犬や老犬でも食物繊維は必須ではないため、子犬や老犬に与える適量というのはありません。
もし与えるにであれば愛犬の便の状態と、日頃与えているドッグフードのパッケージの記載をよく見ながら、使われている食物繊維の量を確認して与えることが良いでしょう。
また排便が軟らかであれば高繊維食に変更するか、食物繊維のサプリメントを活用してみても良いでしょう。
反対に便秘気味の場合では、食物繊維が少なめのペットフードに変更するか、水溶性の繊維が多い食材を活用するという選択肢があります。
軟らかく煮た野菜類などの消化に良い野菜を食べさせることも選択肢として良いと思います。
食物繊維が含まれているオススメの食材やおやつ
愛犬に食物繊維を摂らせたい場合にオススメの食べ物を表にしていますので参考にしてみてください。
・不溶性繊維の割合が多い食材(下痢の場合)
【食品名】 | 【総繊維量】g/100g | 【不溶性繊維】g/100g | 【水溶性繊維】g/100g |
---|---|---|---|
・さつまいも | 3.8 | 2.8(74%) | 1(26%) |
・かぼちゃ | 2.8 | 2.1(75%) | 0.7(25%) |
・レンコン | 2 | 1.8(90%) | 0.2(10%) |
・モロヘイヤ | 5.9 | 4.6(88%) | 1.3(22%) |
・キャベツ | 1.8 | 1.4(88%) | 0.4(22%) |
・しいたけ | 3.5 | 3(86%) | 0.5(14%) |
・きな粉 | 16.9 | 15(89%) | 1.9(11%) |
・水溶性繊維割合が多い食材(便秘の場合)
【食品名】 | 【総繊維量】g/100g | 【不溶性繊維】g/100g | 【水溶性繊維】g/100g |
---|---|---|---|
・ライ麦 | 12.9 | 8.2(64%) | 4.7(36%) |
・オートミール | 9.4 | 6.2(66%) | 3.2(34%) |
・大麦 | 9.6 | 3.6(38%) | 6.0(62%) |
・干しイチジク | 10.9 | 7.6(70%) | 3.3(30%) |
・ごぼう | 5.7 | 3.4(60%) | 2.3(40%) |
・にんじん | 2.9 | 1.8(62%) | 1.1(38%) |
与える際は、可能であれば皮をむいて与えるようにしましょう。
また、生でなく加熱処理や小さく切り刻むなど調理方法を工夫して与えるようにしましょう。
食物繊維を含む犬に向かない食べ物
食物繊維を含む犬に向かない食べ物も表にまとめていますので参考にしてみてください。
食物繊維を含む犬に向かない食べ物一覧 |
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・ごぼう/なす |
ごぼうは食物繊維が多いので、下痢や軟便、強いアクが体内でカルシウムと反応して不健康な状態になりやすいです。なすも同様の理由で犬には不向きとなります。 |
・おから |
おからは食物繊維が多すぎるため、不健康な状態で体重が減ることもあるので注意してください。 また、体のかゆみや下痢、嘔吐のような症状が出てきますので与えるのを控えましょう。 |
・とうもろこしの芯 |
とうもろこしの粒の皮には、不溶性食物繊維のセルロースが多く含まれていて、腸のぜん動運動が促され便秘の予防や解消の効果が期待できます。 ただとうもろこしの芯になると話は別で、食物繊維の塊なので丸飲みすると嘔吐などの症状や最悪の場合は腸閉塞を引き起こす危険性があります。また気道を塞いで呼吸困難になる可能性もありますので注意が必要です。 |
・ドライフルーツ |
ドライフルーツは糖分が高いことと、食物繊維も多いので軟便や下痢の原因になります。 多種類の果物が混ざっているドライフルーツでは、犬が中毒を起こすものが含まれている可能性があるので与えないようにしましょう。 |
犬に食物繊維を与えるときの注意点
ここからは「犬に食物繊維を与えるときの注意点」について3つ解説していきます。
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1 不溶性繊維を与えすぎない -
犬は不溶性繊維を摂りすぎると、便秘を引き起こす恐れがあります。
また、不要性繊維は栄養素の吸収を阻害するので、カロリーだけではなくミネラルやビタミンといった栄養素がとり入れられない可能性があるため、与えすぎないようにしましょう。
- 2 水溶性繊維を与えすぎない
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水溶性繊維も摂りすぎてしまうと、軟便や体内にガスを発生させる可能性が高まります。
もし愛犬がそれらの状態が起こった場合、獣医師に相談したうえでフードやおやつ、トッピング食材、サプリメントで与える食物繊維の変更するようにしましょう。(※日本のオオバコとは異なるインドや地中海のもの)
- 3 サプリメントを扱うとき
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食物繊維のサプリメントとしては「サイリウム」が有名ではあります。
サイリウムとは、※オオバコ(プランタゴ・オバタ)の種子の皮を砕いたもので、その90%が食物繊維で「保水性・膨張性」に優れていると言われています。(不溶性繊維80%・水溶性繊維20%)(※日本のオオバコとは異なるインドや地中海のもの)
また水分を含むと膨れてゼラチン状になる性質を活かして、適量の水分と一緒に摂ることで脂肪燃焼に使われています。ただ愛犬に取り入れる場合は、愛犬の状態や体調に合わせて与えることがポイントになります。
以上の3点を理解して愛犬の食事に取り入れてみてください。
まとめ
以上で「ドッグフードの食物繊維」についての解説でした。
結論的に犬には食物繊維は必須なものではありませんでしたが、犬の体内を整えるという意味では多少は必要な場面も出てくるのではないでしょうか?
もし食物繊維を愛犬に与えるのであれば、与え方や容量などに注意しながら愛犬の健康を支えてもらえると幸いです!
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